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 令和6年11月までに施行される景品表示法の改正法案のうち、本投稿では確約手続(26条~33条)について概要を説明いたします。なお、条文番号はいずれも改正後のものです。
1 制度趣旨
 景品表示法に違反する行為があると疑うに足りる事実がある場合に、その事業者が自主的に改善に取り組めるように促すために新しく規定されました。
2 手続きの内容
⑴ 通知(26条・30条)
 内閣総理大臣(消費者庁長官)は、違反被疑行為に係る調査を開始して以降、景品表示法に違反する行為があると疑うに足りる事実がある場合、違反被疑行為を行っている事業者に対して、通常の調査手続から確約手続に移行するために、当該違反被疑行為の概要・違反する疑いのある法令の条項等を書面で通知することができます(26条)。また、調査手続の開始によって当該違反被疑行為を既にしなくなっている場合も考えられますので、そのような場合でも、同様に書面で通知することができます(30条)。これらの書面による通知により確約手続が開始します。
⑵ 申請(27条1項2項・31条1項2項)
 前記⑴の通知を受けた事業者は、違反被疑行為及びその影響を是正するために必要な措置(27条1項)、又は違反被疑行為による影響を是正するために必要な措置(31条1項)を自ら策定し、実施しようとするときは、その措置に関する計画(確約計画)を作成し、これを、前記⑴の通知を受けた日から60日以内に内閣総理大臣(消費者庁長官)に提出して、その認定を申請することができます。
⑶ 認定・却下・変更(27条3項~9項・31条3項~8項)
 内閣総理大臣(消費者庁長官)は、前記⑵の申請があった場合において、確約計画が以下の要件のいずれにも適合すると認めるときは、その認定をします。
 ① 違反被疑行為及びその影響を是正するために十分なものであること(措置内容の十分性)。
 ② 確実に実施されると見込まれるものであること(措置実施の確実性)。
 逆に、確約計画が以上の要件のいずれかに適合しないと認めるときは、申請を却下しなければなりません。
 なお、一度認定を受けた者が、当該認定に係る確約計画を変更しようとするときは、内閣総理大臣(消費者庁長官)の認定を受けなければなりません。
3 認定の効果等
⑴ 内閣総理大臣(消費者庁長官)は、前記2⑶の認定をした場合、措置命令及び課徴金納付命令を行わない(28条・32条)ことになります。これらの行政処分を受けないことを動機として、事業者の自主的な改善を期待しているといえます。
⑵ 内閣総理大臣(消費者庁長官)は、確約計画に従って確約措置が実施されていないと認めるとき又は認定を受けた者が虚偽・不正の事実に基づいて当該認定を受けたことが判明したときは、当該認定を取り消さなければなりません(29条1項・33条1項)。この取り消しにより排除命令・課徴金納付命令を受けるリスクが再び顕在化しますので、事業者は正しい情報を提供して確約計画どおりに確約措置を実施することが求められます。

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