1 障害者を雇用することの義務について
障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」といいます。)の第1条では、主に障害者の雇用義務に基づく雇用の促進、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保について定められており、これに基づいて全ての事業主は障害者の雇用の安定を図るように努めなければならないとされています。
上記の目的を達成するために法43条では、一般事業主の障害者の雇用義務について定められており(特殊法人や国・地方公共団体等については割愛します。)、対象障害者(身体障害者、知的障害者、精神障害者)である労働者の数が、その雇用する労働者の数に障害者の法定雇用率を乗じて得た数以上であるようにしなければならないと定められています。この障害者の法定雇用率は少なくとも5年ごとに見直されることになっており、段階的に引き上げられる予定となっております。
2 障害者の法定雇用率の推移及び計算方法について
障害者雇用率が以下のように引き上げられ、令和6年9月現在では法定雇用は2.5%となっております。例えば労働者を200人雇用している事業主であれば、200人×2.5%で法定雇用障害者数は5人となります。ただし、障害者を雇用することが困難な事業については除外率が定められており、例えば建設業(除外率10%)であれば、(200人-200人×10%)×2.5%で4.5人となり、この場合は小数点以下を切り捨てて法定雇用障害者数は4人となります。
さらに令和6年3月以前は週所定労働時間が20時間未満の障害者は法定雇用障害者数に含めないとされていましたが、令和6年4月以降は週所所定労働時間が10時間以上~20時間未満であっても、身体障害者(重度)・知的障害者(重度)・精神障害者に限り、0.5人としてみなすことが出来るようになりました。
法定雇用率の推移
令和6年3月以前の法定雇用率→2.3%(労働者43.5人以上で障害者1人雇用)
令和6年4月以降の法定雇用率→2.5%(労働者40人以上で障害者1人雇用)
令和8年7月以降の法定雇用率→2.7%(労働者37.5人以上で障害者1人雇用)
3 法定雇用率の達成について
法定雇用率を達成している一般事業主(雇用する労働者数が常時100人以上に限る)に対しては、障害者雇用調整金(法定雇用率を超える1人当たり月額2万9000円)が支給されます(その超える人数が120を超える場合は、120を超える部分の人数に2万3000を乗じた金額を支給されます。)。また、雇用する労働者数が100人以下の場合であっても、雇用している障害者数に応じて報奨金が支給される場合もあります。
また、法定雇用率が達成出来ていない一般事業主(雇用する労働者数が常時100人以上に限る)は各年度につき、障害者雇用納付金(法定雇用率に満たない1人当たり月額5万円)が徴収されます。
厚生労働省作成の令和5年12月22付け「令和5年障害者雇用状況の集計結果」によると、法定雇用率達成企業の割合は50.1%となっております。今後も法定雇用率の引き上げや障害者雇用納付金の徴収要件の引き下げ等が行われることが考えられますので、事業主は今後も見据えて障害者の雇用も視野に入れつつ採用活動を行う必要がありそうです。