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1 労働時間の管理から除外するべき者について
 労働基準法上における時間管理の規定は、すべての労働者に対して規定しているものではありません。例えば、同法第41条に定める「管理監督者または機密の事務を取り扱う者」は時間管理の適用から除外する必要があります。具体的には、労働者の役職名(部長・課長等)のいかんに関わらず、経営者と一体的な立場であり、その地位にふさわしい待遇がなされている者等又は職務が経営者または管理監督者の活動と一体不可分である者です。
 そのため、いわゆる名ばかり管理職(役職者であるものの、➀職務内容・責任・権限、②勤務態様、③賃金等の待遇等の実態に照らし合わせて、通常の労働者として判断される者)の取り扱いには十分注意する必要があります。
 その他、農業・畜産業・養蚕業・水産業の事業に従事する者(林業を除く)や行政官庁の許可を受けた監視又は断続的労働に従事する者は時間管理の適用から除外します。

2 労働時間に該当するか否かの具体例
 以下、いくつかのパターンに分けて、時間管理に該当するか否かを紹介いたします。
パターン1 健康診断・特殊健康診断
 労働安全衛生法第66条1項に定める一般健康診断に有する時間は、必ずしも労働時間に該当するとはいえません。厚労省のホームページでは、「一般健康診断は、一般的な健康確保を目的として事業者に実施義務を課したものですので、業務遂行との直接の関連において行われるものではありません。そのため、受診のための時間についての賃金は労使間の協議によって定めるべきものになります。」と記載があり、労働時間とするかの判断は各事業所に委ねられています。
 反対に同法第66条2項に定める特殊健康診断に有する時間は、必ず労働時間として扱います。同健康診断は、労働者が政令で定める有害な業務に健康な状態で従事するため、当然に実施しなければならない健康診断であるからです。
パターン2 休憩時間中の業務
 休憩時間であるにも関わらず、来客や電話当番等でその場を離れることが難しい場合は、その時間を労働時間として扱う必要があります。休憩時間には自由利用の原則(労基法第34条3項)がありますし、そもそも当番業務をすることは使用者の指揮命令化にあると評価されます。
パターン3 手待ち時間
 業務上でいわゆる手待ち時間が発生する場合は、その時間も労働時間として扱うとされています。手待ち時間とは、労働者が作業に従事していないが、使用者の指揮命令下にあり、使用者からの指示があればすぐに作業を始めなければならない状態のことを指し、例えばタクシー運転手の客待ち時間、荷物の積み込み作業のためトラックの到着を待っている時間、飲食店で店内に客がいない状態等多義に渡り、上記パターン2も手待ち時間に該当するといえます。

次回はパターン4から続きを紹介いたします。

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