今回は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス新法」といいます。)の第三章に定める特定受託業務従事者の就業環境の整備について解説いたします。
1 募集情報の的確な表示(第12条)
発注事業者が、新聞、雑誌、その他の刊行物に掲載する広告等により、フリーランスの募集に関する情報(業務の内容、場所、期間、時間・報酬・契約の解除等)を提供するときは、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、また、正確かつ最新の内容に保たなければなりません。
2 妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮(第13条)
発注事業者は、フリーランスと6か月以上の業務委託契約を締結する場合に、フリーランスが妊娠、出産もしくは育児、介護等と当該委託業務を両立できるように、フリーランスの申し出に応じて必要な配慮(申出内容の把握、取り得る選択肢の検討、実施もしくは不実施の場合の理由の説明)をしなければなりません。配慮例として、育児介護の事情で納期を変更することや一部業務をオンライン作業に切り替える等が挙げられます。
3 業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等(第14条)
発注事業者は、フリーランスに対するハラスメント対策について次の措置を講じなければなりません。
⑴ ハラスメント対策の方針の明確化、及びその内容の周知、啓発
⑵ 相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
⑶ 業務委託におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
⑷ その他プライバシー保護への配慮等
4 解除等の予告(第16条)
発注事業者は、フリーランスと6か月以上の業務委託契約を締結する場合に、契約を途中解除したり、更新しないこととする場合は少なくとも30日以上前に書面により予告をしなければなりません(天災事変やフリーランスの責めに帰すべき事由がある場合は除く。)。また、発注事業者はフリーランスから予告の日から解除日までに、解除理由の請求を求められた場合は、これに応じなければなりません。
5 まとめ
以上のとおり、フリーランス新法を3回に分けて解説いたしました。
また、注意したいのは、本法におけるフリーランスが各労働関係法令における「労働者」に該当する可能性も考慮する必要があるということです。契約の形式や名称にかかわらず、個々の働き方の実態に基づいて「労働者」に該当するか否かを判断するため、フリーランスが発注事業者から都度指揮命令を受けて業務を行っている場合は労働者に該当する可能性が高いといえます。フリーランスが労働者に該当する場合は、例えば、労働基準法における賃金、労働時間・休憩・休日・有給等の規定にも配慮しなければなりません。